膠着語

wor un nociw
水 の 星

(1/16追記: フレーズの引用元は、アーティスト ∀KIKO 氏の同名の作品集から。)

この短いアイヌ語の名詞句を、人工言語 "lojban" に訳してみると、ひとまず、


(1) le djacu plini
あの/その 水(-的な) 星 (とされているもの)
となる。アイヌ語は head-last な言語なので、日本語と同じく、nociw が修飾される語(主辞)、wor が修飾語、un が「の」の役割を持つ。
文法の規定された言語である lojban では、原則では前方の語が後方の語を修飾する。そのため、(1)の意味は「水的な星」に固定される。
ところが、lojban では、接辞 un「の」にあたるいかなる valsi -- 語(形態素)が無い。
上の例からわかるように、lojban を自然言語の翻訳の中間言語に用いる際、原言語を意味論の上では正しく伝播する可能性があるが、統語論的構造をそのまま保存することは難しい。ただ、実際の翻訳ではそんなことは誰も望まないけど。意味さえわかればいいということで。